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革靴のつま先を保護する

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グッドイヤーウェルト製法の靴はソール交換によって永く履けるのがメリットではあるが、靴底は均一に減ってくれるわけではない。 ヒールは容易に交換できるのでいいとしても、つま先が著しく摩耗するとウェルトにダメージを与えることになるのでちょっと困る。 そのためにスチールだったりゴムだったりをつま先に当てる(もしくは当ててある)こともあるが、それでもつま先はどんどん摩耗していく。 とくに履きおろし直後で靴全体がまだ固いときは摩耗が激しいため、何とかならないかと思っていた。 そこで思いついたのが、シェットランド・インバネスの紹介のところでも少し触れたように、靴底用のノンスリップシートを貼り付けて摩耗を回避してやろうというものである。 用意するものは100円ショップで買ったノンスリップシート(ダイソーのこの商品は靴底修理材であるが)とゴム用の両面テープ。 あとはハサミと、脱脂用のアルコールもあるとよい。 掛かる費用は1000円未満、掛かる時間は約10分の簡単な作業である。 まずは形状をよく見ながらノンスリップシートをカットする。 目安はつま先から2cmをカバーできる程度。 大きくても問題はないのだが、どうせつま先部分が先に擦り切れるので無駄になる。 反対に小さいと接着面積が不足するためすぐに剥がれてしまう。 何度か試した結果、2cmくらいがちょうどよいということがわかった。 写真では3分割にしているが、左の大きい部分は今回使用しない。 すなわち、シート2枚で3~4足分使うことができる。 カットしたシートをつま先部分に当て、しっかり圧着してから一度取り外す。 取り外すとこのように跡が残るので、これを目安にしてハサミでカットする。 カットしてしまうと左右がわからなくなるので、どこかに印をしておくとよい。 適当にカットした後、再度つま先に貼り付けて状態を確認する。 つま先のRに厳密に合わせる必要はなく、アバウトで大丈夫。 前から見ると若干はみ出しがあるが、この位であれば問題はない。 気になるようなら、本番の貼り付け時にごく僅かヒール側に寄せてやってもいい。 とはいえあまりにもガタガタであればハサミで修正しておく。 形が確認できたら再度シートを取り

リーガル W255と2177 | Regal W255 & 2177

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もうずいぶん前に購入した靴であるが、紹介しておこうと思う。 リーガルのウィングチップ、W255である。 2013年ごろに購入したと思うが、ほとんど履くことなく靴箱の奥底に眠っていた。 履いていなかった理由は「ちょっと迫力がありすぎるから」で正直存在を忘れかけていたが、最近になって「そういえば一足あったよな」と引っ張り出してきた。 当時は靴のスペックなどあまり気にしたことがなく、今になって調べてみようと思いたったがなにぶん古いため情報がなく苦労した。 なんとかアーカイブされたサイトを探すことができ、わかったのがこれ。 靴を横から写真を撮るとずんぐりしてしまうが、実物もどっしりしている。 ダブルウェルトでコバの張り出しも大きい。 リーガルにはこの手のデザインの靴が多いので、見た目は珍しいものではない。 ツリーはOPS-2001に使用していたLife Valueを流用。 オデッサ木型に使うと踵が大きいが、この靴にはぴったり。 中もこの通りでぴったりだった。 甲はしっかり伸びており、ボールジョイントも親指側はフィットしている。 あまり幅広なツリーではないため小指側はやや隙間があるが、全体的にはよい感じ。 ソールはGEOX。 すでにリーガルとの提携は解消しているので、オールソールしてもオリジナルにはならない。いつになるかわからないが、そのときはビブラムのイートンにするつもり。 ソールは厚いが返りはよく、クッション性もいい。 数年間、まったく履くことなく放置していたのだが、カビはおろかヒビ割れ一つなかった。最後にどんな手入れをしたかすら覚えていないが、コロンブスのクリームを塗って拭き取っただけだったと思う。 プリメンテすらしていない靴であったが、今普通に手入れするだけでとてもよく光っている。 肌理は細かく皺も穏やかで、たかだか6~7年前ではあるが昔の革は上質だったということなのだろうか。 クリームは主にブートブラック・シルバーラインを使っている。 サイズは25.0のEEEだが、今だったら24.5を選んでいると思う。 それゆえ足を入れるとややゆったり感じるが、靴の中で足が動きすぎることはなく、足首のホー

シューツリーにひと手間を

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新しく靴を買うと、どのシューツリーを使うかは悩ましいものである(それもまた楽しみのひとつではあるが)。 購入当初はぴったりフィットしていても履きこんでいくうちに変化してくるし、そもそも製品のバラつきも多く、経験と運にもよるところがある。 実際に展示品でフィット感を確認した上で同サイズを買って帰ったものの、緩くて使い物にならなかったこともある。 フィット感はある程度妥協せざるを得ないと思うが、それとは別にひと手間かけたほうがいい場合があるのでその紹介をしようと思う。 下は比較的評判のいいスレイプニル・トラディショナルであるが、シェットランドフォックス・インバネスに装着したときに問題があることに気がついた。 可動パーツのこのエッジが ツリーを取り出すときにライニングに引っ掛かり、わずかではあるがめくれてしまっていた。 もともとかなりタイトなフィットのところ、取り出すときに引っ掛かりを感じていたのだが無視していたのが悪かったようだ。 そこでエッジの面取りをしておこうという試みである。 ホームセンターや100円ショップにもあるスポンジブロックやすりを用意する。 写真の番手は#60と#120であるが、#120単体だけでもいいし#240でもいい(数字が小さいほど目が荒い)。 紙やすりが付属するツリーもあるが、もちろんそれでも構わない。 単にこの部分の面取りをするだけでいいのだが、せっかくなのでツリーを分離して行った。 分離は横のネジを緩めるだけであるが、元に戻すときのため「現状から何度(何回転)締まったところで止まるか」を覚えておく。今回は720度(2回転)だった。 #60を使って軽く削ってやると簡単に面取りできる。その後#120でならしてやる。 エッジが滑らかになったのがわかると思う。 左側が処置後、右側が未処置のもの。 両方とも処置したところ。 ついてで本体側も全体的に軽く処置しておく。 今度はやや細目のスポンジやすりを用意したが、こちらも何でもよい。 目的はささくれ等の除去(このツリーでは全く問題ないが)と、全体的に平滑にすること、すべてのエッジの面取りである。 普段は目に

リーガル W26A | Regal W26A

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これまで会社に茶色の靴を履いていくのは抵抗があった。 あまりうるさい社風ではないし、若者達は気にせず履いているのだが、それなりに歳を重ねると(今まで履いていなかっただけに)躊躇してしまう。 そうは言っても美しい茶色の靴を見ると履く機会は別として欲しくなってしまい、リーガルの W81B とかユニオンの U2006 が気になって試着までした。ところがW81Bがガラスレザーとのことで断念(ガラスレザーが駄目というより茶色の靴を育ててみたかったのである)、U2006は私の足と合わないと判断してこちらも断念した。 そんな中、ふとリーガル専門店でこれを見つけて購入してしまったのがこれ。 W26Aというモデルである。 職人が手作業で仕上げたという風合いのあるダークブラウンのUチップで、これならオフで履くことをメインで考えればいいのだ。 サイズはきつめのフィットに慣れてきたためか、25.0では緩く感じたため24.5を選んだ。 (訂正:当初は「いつもの25.0・・・」と記載していましたが、24.5の誤りでした) この写真を撮影したときで、だいたい25回くらい履いている。 実は履きこんでいく最中で右の踵部分(中敷)が高いと感じるようになり、修理してもらったことがある。ほんの数ミリだと思うのだが、気になりだすと気になるもので・・・。 ツリーは YRMS のもの(サイズは37/38)。 このツリー、表示サイズだとやや小さめで他の靴に入れると緩いのだが、この靴に関してはぴったりだった。 この靴のウリの一つであろう「エアローテーションシステム」だが、正直なところあまり違いがよくわからなかったりする。それよりもインソールに設けられた通気口が気になってしまう。 履き心地はまずまずよく、ややふわふわした感じも受けるがクッション性はよい(そういうコンセプトのようだ)。 比較的細身のため一時期は右小指あたりが痛いと感じることもあったが、今ではすっかり慣れた。 履いている間にあまり気になる箇所が無く、そういう意味ではいい靴である。 革質は悪くないと思う。 Uチップというデザイン上の特性だと思うが、パーツがわかれていることで大きな皺が入ることもなく、ほどよくこなれてきた。 リーガルのサイ

シェットランドフォックス インバネス 007FSF | ShetlandFox INVERNESS 007FSF

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リーガル 02PRでプレーントゥが気に入って、次に選んだのがシェットランドフォックスのインバネス。 アノネイのボカルー、レザーソールでシェットランドの中ではスタンダードなモデル。 購入前に外羽根ストレートチップの3031SFを試着させてもらったところ、サイズ7でややきつめだがちょうどよくなりそうなサイズ感、内羽根ストレートチップの3029SFでも同じだったのだが、本命のプレーントゥ007FSFだとなぜか6・1/2が同様のサイズ感で、7にするべきなのか悩んだ。 沈み込みと伸びを考慮して6・1/2を選んだが、多分正解だったと思う。 このプレーントゥは後から追加されたモデルなので、型番の連続性がないモデルたちとは微妙に違うのかもしれないし、単なる個体差なのかもしれない。 いずれにしても靴は必ず試着するべし、ということなのだろう。 ギリギリのサイジングということもあり、プリメンテは入念に行った。 定番のデリケートクリームを内外に塗り、さらに内側にコロニルシュプリームクリーム、外側にアニリンカーフクリームを塗ってから室内で当分の間履き慣らした。 ただ履いているだけでもだんだんと馴染んでくるのが気持ちいい。 数日間かけて慣らしたら、履きおろす前にハーフラバーを貼ってもらった。 写真は当分履いた後なので、ヒールをコンチネンタルでリペア、トゥをゴムあて(+自作ノンスリップシート)している。 シューレースは蜜蝋たっぷりでいい感じなのだが滑りが悪く、羽根が開きにくいので当分の間はリーガル純正に交換していた。 かなりタイトだったので履きおろしはドキドキだったが、むしろタイトフィットがとても快適だった。土踏まずのフィット感、踵のおさまりがとても気持ちよく、ヒールのクッションもよく感じられる。 若干小指にかかる圧力が気になったが、初日から思いのほか快適だった。 ところが15回程度履いたころから、親指の付け根あたりが猛烈に痛くなってきた。 いわゆる「靴に噛まれる」というやつであるが、どうにも痛いのでブートブラックのリッチモイスチャーを大量に塗ってみた。 ベタベタ感が当分残ったが、ブラシ~入念な乾拭きを1週間毎日繰り返し、ベタベタが解消されてから履くと、噛まれも解消されてすっかり快適になった。 その後もま

リーガル 02PR | Regal 02PR

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ストレートチップが続いたところで、次はプレーントゥを選んでみた。 モノはリーガルの02PR、ラバーソールで3アイレットのVフロントと呼ばれるもの。 04RRやレザーソールの04MRも候補だったが、気を使わないラバーソールですっきりしたこのカタチがいいなあと思って購入。 サイズは25.0と24.5で相当悩んだ。 試着では24.5でも履けないことはなかったが、ボールジョイントがきつきつで、伸びや沈み込みでフィットする確信が持てず25.0を選択。 これがよかったのか悪かったのか、現時点ではまだ何とも判断がつかない。 レザーソール風(?)のラバーソール。 試着の時点からとても履き心地がよく、履きおろし初回からすぐに馴染んだつもりだったのだが、中底が沈んでくるにつれて親指の側面と小指の上面が痛くなってきた。 そしてアッパーには残念な皺が入っている。 キャップのないプレーントゥでアイレットの少ないVフロントということは、履き皺がとても目立つということだった! 履きおろし前のプリメンテはかなり念入りにやったつもりだったのだが、革質によるものだろうか。 OPS-2001よりも肌理が粗く、全体的に大きい皺が入る。 履き口周辺が少々乱れているが、クォーター部は問題ない。 シューツリーは LifeValue のもの。 オデッサ木型には履き口が大きすぎるが、この02PRにはぎりぎりいけると思う。 このツリーは甲のフィット感がとてもよい。 反面、問題の小指部分にまったく当たっていないので当面は別のツリーを入れている。 今のところ痛みはやや和らいでいる。 親指の痛み対策で、ハーフインソールを入れてみた。 この類のものはあまり好きではないのだが、痛みの緩和に加え甲が少々緩いので効果はありそう。 クッション性が増し、ソフトな履き心地になった。 履き皺こそ痛々しいが、全体的な形はとても気に入っている。 中庸なシェイプでコバの張り出しは少なく、ソールも厚くない。 公式サイトによると 「シックな雰囲気をもつ上品で洗練されたドレスシューズがコンセプトの商品」 なのだそうだ。 お手入れはOPS-2001と同じで、基本的にはクレム19