ショーンハイト SH111-14 | Schonheit SH111-14
ショーンハイトのコンビネーションオーダーで靴を買ってみた。
靴関係のサイトを眺めていて知ったショーンハイト。
東立製靴のブランド名で、グッドイヤーウェルト製法でありながら低価格でコストパフォーマンスがいい靴と評判がよい。
既製靴はYahoo!ショッピングで購入することができるが、木型やデザインなどを自分で選べるコンビネーションオーダー(=パターンオーダー)もある。
たまたま近くの百貨店でオーダー会があるということで行ってみたのだが、既製靴のサイズ確認だけのつもりだったのに、気がついたら(?)オーダーしてしまっていた。
といってもオーダーしてしまう予感はあったのだが(笑)、初めてのことでもあり何となくのイメージしかなかった。
事前にぼんやり考えていたのは、
・仕事用に目立たずあまり気を使わずに使いたい
・デザインは外羽根、プレーントゥではないもの(02PRとインバネスがあるので)
・甲革は山陽ボックスキップかアノネイ
程度であった。
木型はブリティッシュトラッド(SH111)、ロングノーズ(SH416)、アメリカントラッド(SH308)などから選ぶことができ、サンプルの既製靴でフィッティングを試すことができる。
いろいろ試したところ、SH111の24.5か25.0、SH416なら24.5がよさそうであったが、スタイルの好みでSH111にし、サイズは全敷仕様とした上で25.0とした(シングルEも試してみたかったのだがサンプルがなかった)。
デザインはおとなしめの外羽根パンチドキャップトゥで飾りはなし、キャップはバランスを考えて-7mm、くるぶしは担当の伊藤さんのおすすめで-3mmしてもらう。
甲革は山陽ボックスキップを選択。
ソールはレザーでつま先ゴム当て、ヒールはラバーとした。
結果、パターンオーダーにしてはおとなしめになってしまったが、靴に限らず最初のオーダーというのはそんなもののようだ。
待つこと約50日、オーダーした靴がやってきた(正確には取りに行ったのだが)。
型番は箱にはSH111-2D、靴にはSH111-14とある。
最初の印象は「えらくごついなあ」であった。
今でもそう感じるのだが、原因は張り出したコバにあるみたい。
個体差かもしれないが、右のシェットランド・インバネスと比べると歴然である(シェイプの違いも大きいが)。
横からみると甲が高めのためか、ややぼってりしているように見える。
開封後、早速内外にモゥブレイのデリケートクリームを塗り、外にはさらにブートブラックのリッチモイスチャーも塗っておいた。
その後は室内で履き、ゆっくり曲げたり革の様子をみながらリッチモイスチャーなどを追加して足を慣らしていった。
数日後、つま先のゴム当ての上からさらに例のゴム当てを行い、ソールにもソールモイスチャーを塗って、近所の散歩で履いてみた。
室内である程度は曲げておいたのだが、外を歩くととても固く、シューレースを力一杯締めていないと踵が浮いてしまう。
とはいえ足首のホールドがいいためスカスカではなく、返りがよくなれば問題なさそうな感じであった。
シューツリーは以前オデッサに使っていたLifeValueを流用。
甲はややフィット感が足りないが、踵はちょうどよい。
通勤で使うようになると、4~5回目からとても履きやすくなってきた。
親指も小指も痛くなることは全くなく、指には余裕があるが靴の中で足が遊んでしまうほどでもない。
足がむくんできてもその傾向は変わらず、全敷ということもあり足裏の負担も少ない。
私の足には甲が高めなため隙間が大きく感じるが、1日中履いても苦痛はなく、ガンガン歩くにはもってこいの靴になった。
つま先のゴム当ては、返りがよくなってから外している。
また他のレザーソールの靴のように、ハーフラバーは貼っていない。
ガンガン履いて革底を堪能したいのが理由であるが、オールソールの料金が格安ということも見逃せない。
ウェルト交換を含んだオールソールで9,000円少々という価格には驚きだが、修理の得意なショーンハイトならではの大きなメリットだと思う。
気になる山陽ボックスキップの革質だが、あまり表情はないように思えるがブラシだけでもよく光る。
基本的にはイングリッシュギルドを使っているが、他のクリームを入れてもあまり傾向は変わらないと感じる。
今のところ雨には打たれていないが、水拭きしたときの印象からデリケートな革ではないようだ。
気になる点としては、ややタンが長くしゃがんだ時など甲に刺さるように感じること(左がインバネス、右がSH111)。
アップで。
後にレースステイからタンへの、ステッチの連続性というデザイン上の理由だと聞いたような気がする。
タンの長さはオーダー時に変更可能なので(確認済)、外羽根をオーダーされる方で気になるようなら5mm程度短くされたほうがいいかもしれない。
シューレースは普通の蠟引き80cmだったが、この靴に限らず緩みやすいので写真のものに交換してみた。ご覧のとおり石目柄で直立するくらいのハリがあり、緩みにくそう。
価格も2足分で990円と安めなのでおすすめである(Amazonで探してみてください)。
ただし滑りが悪く調整はしにくいので、タイトな靴や履き始めたばかりの靴だと少々面倒かも。
写真を撮影したときで、約20回履いている。
この靴、造りは決して悪くはないが、極上の質感にうっとりするということはない。
履き心地がよく修理も安価で、いい意味で気を使う必要がない極めて実用的な靴だと思う。
工具でも、超高級品ではないが造りがよくしっかりしていて、遠慮なく使えて手に馴染んだものに愛着が湧く・・・ということがある。
あるいは身の回りの道具や、文房具でもそういうことがあるかもしれない。
私の周りにも、キーの文字が擦り切れて読めなくなった電卓を愛用している者がいる。
いわく「新しい電卓も持っているけどこれが一番いい」のだそうだ。
ショーンハイトもそんな靴だと思う。
サイズが合えば既製靴でも十分によさを味わえるので、機会があったらぜひおすすめしたい(雨の日用にラバーソールモデルがほしいくらいである)。
初めてのショーンハイト、初めてのオーダーだったが、とても満足度の高い買い物になった(・・・ので第二弾もオーダーしてしまいました)。
コメント
コメントを投稿